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実験室の風景

実験を行う上でのテクニックや我が研究室の流儀などを公開し、それが訪れた方の参考になれば幸いです

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2024/11/21 (Thu)

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フィッシャーエステル化反応

2011/06/25 (Sat)

フリーの状態だと反応中に余計なことをする官能基は多いです

そういった官能基の反応性に蓋をする

もしくは反応しないように保護する

という目的で導入する官能基を保護基といいます



カルボン酸がフリーの場合、多く選択肢に使われるのがエステルです

酸・塩基によって簡単に加水分解することができますし
エステルから別の官能基へ変換する足がかりにもなり
有機合成ではカルボン酸をエステルの状態にすることは頻繁に行われます

エステル化の代表といえば
フィッシャーエステル化反応(Fischer esterification)が挙げられます

フィッシャーエステル化は超有名反応でもはや教科書レベルで一度は習うと思われます
しかしながら教科書反応につきもので
あまりに当たり前で実験の詳細が語られることはあまりありません


今回はそんなフィッシャーエステル化反応を行う上での注意点です


フィッシャーエステル化反応は脱水縮合がその本質ですが、反応は全行程で平衡ですから
アルコール成分とカルボン酸を等量入れても原料残したまま平衡に陥ります
したがいましていくつかの要点を挙げます
  1. 試薬は乾燥したものを用いる(個体は真空ポンプで、溶媒は脱水物)
  2. アルコール成分を大量に用いる(往々にしてメチルエステルやエチルエステルにするために、メタノールやエタノールを兼溶媒として使用する)
  3. アルコール成分が貴重な場合、水よりも比重の小さい有機溶媒を溶媒に用いて、ディーンスターク装置により反応系から水を除きつつ反応させる(ベンゼン)
  4. 反応終了後、無水的に溶媒を除く
特に4番で気を抜くと、処理直前までTLCには原料が無かったのに、濃縮後に原料とエステルが半々になっているということが十分起こります
隣のY君はここでやらかして、別の反応と二段階で得たエステルの収率が20%という残念な結果に3回なって現在ハマっています
硫酸を用いる場合はいいですが、HClが発生するような系で行う場合は、HClでダイヤフラムが傷まないようにアスピレーターで濃縮します
このときにしっかりした塩カル管を挿まないとこういったことが起こります

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