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実験室の風景

実験を行う上でのテクニックや我が研究室の流儀などを公開し、それが訪れた方の参考になれば幸いです

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フィッシャーエステル化part2

2011/08/06 (Sat)

前回一度書きましたが再びフィッシャーエステル化です

意図せずしてwikiと同じ情報を書いて自分でコピペかと思ったので一般論ではなく私が行った方法を書きます

基質はアラニン、フェニルアラニンです
これらのカルボキシル基をメチルエステル化します

条件は3つ
条件1:物質量比にして1:10程度の基質:メタノール懸濁溶液を用意します
基質は真空ポンプで一時間程度乾燥したもので
メタノールは脱水のです
ただし、高価な脱水試薬を大量に使いますから
研究室的にダメなら蒸留メタでも全然構いません
次に、この溶液を撹拌しているところへHClを室温で吹き込んでいきます
あとは放置してときどきTLCで様子を見ます
この方法は数日単位の時間が掛かりますので注意してください

条件2:上記と同条件のメタノールを冷却しているところへHClを吹き込んで飽和させます
だいたい35%くらいまではいくと思います
次に、この溶液を10%くらいになるまで薄めた溶液を調整します
ここへ、上記と同条件の基質を加えて還流します
HCl/メタノールを調整するのにこれも数日単位で時間がかかる場合があります
しかし還流は3時間くらいです

条件3:基質とメタノールは上記と同条件です
まずメタノールへ基質に対して2等量の塩化アセチルを滴下していきます
温度が急激に上昇するので必ず滴下してください
下手すると突沸します
塩化アセチルを加えきったら基質を投入して還流します
塩化アセチルを滴下するのに時間がかかりますが
上記二つの方法よりはるかに短時間で済むのでこの方法を採用してます


反応終了後の処理は同じです
まずメタノールを留去します
しかしHClでダイアフラムが傷むでしょうからアスピレーターでやります
ダイアフラムでも途中に水酸化ナトリウムなどを挟めば使っていいのかもしれません
アスピレーターの場合は必ず途中に塩化カルシウム管を挟んでください
さもないとせっかくできたエステルが分解します
塩化カルシウム管は大袈裟なくらいで丁度いいです

さてHClはなかなか抜けません
残っていても問題がない、精製は必要ないという場合はここで終わりです
次にいきましょう

残ったら困るという場合はベンゼンで何度か共沸留去しますが
これでも完全に抜くのは困難だと思いますので別の方法がいいかもしれません

反応液には、エステル、メタノール、痕跡の基質、HClが入ってます
これから、メタノールを留去するので、痕跡の基質とHClが気にならない反応が次にあるのなら精製は必要ないと思います
結晶化して精製する論文がありましたが失念しましたので論文検索してみてください
読み切れないほど引っかかります

以上です

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