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実験室の風景

実験を行う上でのテクニックや我が研究室の流儀などを公開し、それが訪れた方の参考になれば幸いです

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NMRの話

2012/06/27 (Wed)

有機合成に欠かせない分析装置と言えばNMR(核磁気共鳴解析)です

NMRは
一般的なH-NMRの場合、解析時間が早いこと
試料調整が容易なこと
以上2つの事柄が利点における大きなウェートを占めると思います

今回は教科書的なNMRの話ではなく
合成後という条件下で見るNMRについて触れます
 
なお、私はやむを得ずNMRを勉強しているに過ぎないので
勘違いしていること、単語や言い回しなどの誤用、誤解などがあるかもしれません
したがいまして、公式の場やボス相手だと「?」「誰に教わったんだ!?」
てな具合になるかもしれませんが悪しからず

全合成は A+B→A' のような反応式の連続で、Aの一部分を変えてA'にするのでAの大部分で構造変化が起きません
したがって、A'のスペクトルはAによく似たものになるはずです
これを応用してスペクトルを解析していきます
 
この方法で重要なことは
初めの基質(ここではA+B→A'の場合のA)のNMRを測定し、常識的な論文ならば記載されている情報を読み取ります
前述の通り、Aの一部分が変化していくことの連続なので、元がしっかり分かっていないといけません
きちんと分かっていれば
A'はAの○○が変化するので、××ppmのピークが無くなり、△△ppm付近にピークが現れそうだな
ってのが想像できるようになります
なお、初基質は必ず既知の中身が保証された試薬を用います
その試薬はどこぞの会社が調製したものなので必ず分析されていますから
ネット上や各社のHP、あるいはArdrichのデータ集のような形態で見ることが可能です
しかし、自ら解析することをお勧めします
この習慣を身に付けると、NMR測定のモニタリングしてるだけで
合成失敗してるかもしれない
モノがない・・・抽出で油層に来てないな
大分汚れてる(反応試薬、溶媒等で)
という見当も付くようになります
プロじゃないですからなんとなくでいいんです
・・・いいでしょ!?
もちろん結果は結果なのでそれもきちんと解析するべきです
未精製ならボス次第かもしれませんけど
精製済みで、おまけに相当量ならきちんとどうなったかを記録するべきです
 
 
余裕がありましたら使用する反応試薬も測定・解析すると
モノだと思ったけど違うみたい・・・だけど何じゃこれ?
というのが減ると思います
何せフラスコには指で数えられる程度にしか反応物質を入れないわけですから
モノじゃなければ大体は副反応生成物か原料です
副反応生成物でさえ結局は原料に意図しない事が起こったわけで構造にあまり変化が無いわけです
1potだと複雑で対応できなさそうですけれど・・・
 
と、ここまで書いてきましたが
ひょっとしなくても普段やっておられる方が多いかもしれないな・・・
 
 
 
最後に参考文献も挙げておきます
 

愛されて○○のようなキャッチコピーが付きそうな定番の書籍です
私は第五版を所有してます
新版じゃなくても十分対応できるのでいいんです
「NMRの」勉強をするには分かり難いと感じるので
解析時に使用するのが吉だと思います
 

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